浄罪
終わりを嘆いた。漂着した小さなひとみだ。ちいさく震えたけれど背負い切れるわけでもない、砂の器だ。幾多の山々を越えた少しの荷物が、更フけ、少しずつ輝きを喪っていく。零れていたのだと気付いたときには遅く、火は消えようとしてた。
片足、細腕、碧眼、戦慄くは口吻。空きをみせたばかりのヒトトセを殺す。すげ替えるように片っ端から罪もないヒトビトを。鼻先に突きつける荒廃は膿んだ、引き延ばせない鉄槌は波に餐まれてしまった、胸懐を超えたしがらみは、大海原の半島に置き去りにした。
いまごろキミはどうなってしまったか。無垢な躯のまま、ボクは添い寝していたい。足掻いた挙げ句、浮腫ムクれた外皮が剥がれ、線虫で着せられた真っ白いはだかを晒して、物言わぬ眼孔からはにかんだ緑児が生まれてくるのを、狂ったように見つめていたい。
永遠とはなんだろう、銃槍 血痕 轍 焼跡の花だ。
夢幻の内にいる水平線には、ひどくきたない月影は残存している。
のぼせたような木の葉が反射的に降ってくる、千切れ雲からそれを飛び越えるような光が、ちりちりと瞳を焼いていくのを、なによりも澄み切った、象牙色の骨が、怨めしげに広がっていた、不透明に羽ばたく、碧に溶けてみせて。