ことばとき(araireika)

捻り捩じった羅列・流れの一音にどれだけの意味が混められるか

のち祝福を

まくろく胡散臭いツヤのある回帰線を簡単に引いてたびたび返されたトランプの屍体。そのどれもが押し開いて咲きだしたクソロイド曲線の杜、いとまごと沈静化して。背の躱しさが緩く 限られた最短を逝くためのループに魅せられる 酔って垂直へ変えて演じてい…

湑む

まるで横顔の女だ 睫毛の長い、髪の黒い若い女が真直に背を凭れ眠っているのだろうか/一瞬通り過ぎた車窓に、何を隠そうとして、いま、不意に見せたのだろう /これによって古く細い町並みは直線を辿り 私は、ここに降り立ったのだと思っている/その上、も…

pupa

不可解に捻れた獣道を作り出した、薔薇線の手招き青々とした雜葬の絨毯を噛みしめ、これら花瓶のお囃子夢見るピエロだ裸足の花園だ 中空廃園だぼぉたちの綿毛ら 黄昏時の川の流れに。フラッシュを強く焚く水辺が、暮れ泥みが、ぼおとして何も求めないくぐっ…

未詳。

その澄んだ表面は世界は 翠の侵蝕 または神域/一冊を綴じた、現実から外れていく そのものが/解いたセーターよりあおぞら、扉が閉まり身だけを残してフルーツパフェより魅力的でなければいけない。 (廃工場に差し込む明かり)/早回しのGIF どうでも、そ…

焦点を合わせる

妍しいだけの皿に、その手のひらに 泳ぎ回る琉金の ちいさく軋んだベビーベッドから、流れ星を拾い上げる/ 海にいる /岸辺から眺めるひとがいて、遠くにある帆船と征く 庭園には野草が、死期を無視して、飛び回る瞳のまま 背には山々、眼下には子猫が眠り…

うすいはなのいろ

小煩いの壁紙にはエロチシズム なにかを、芳しく、静まるような。 涙色のレザーソファには矢車菊が まだ、薄暗い陽にセントバーナードが眠りに落ち小花をあしらったわたしの___裾を踏んで ないているのを知っている 見上げてみれば、少しも動けない。薄花…

夜陰

蒸発すら叶わない人魚の鱗のようにある湖が 荒々しい海辺のあの夏の終わりの、へたくそな絵を描いてただ鏡越しに私の真似をしている異国のおんなが白い蝋燭をひとつ灯してのぼせるようなすがたで中空を漂っていた。意識はそこから黒い影をくねらせ、走り去る…

四方山話

もとからどこにも取り付いてなかった象嵌の螺子ですから 其の内ルリタテハの瞳は羽化していくのを 襤褸が出た躰で憶えている 深層で春を装う球体関節人形の御伽噺 ばっかみたいだって、靴飛ばして歩けないやって、甘えたりしてそうやって肩並べて 小突きあえ…

空調の爪痕

乱れた底に過度におられた罪について。 ヌバいろの今昔に中たる言論の歯型ついて。 今この像の柱から肌にかけて突っ張る生え際から襟首までいくつかの凹みとカブレがある。その記録、海のようでいて蚯蚓のようにだいぶ水が溜まっている、目印が黒点と賽の目…

熱帯夜

少なからずきれいなだけの星空やお花畑で対談する、虎や蝶や蟻や象でさえ、ただ乗せられているだけの口車のお陰で、仲良くあり続けることが、簡単に叶う紗幕の裏で、ゆらゆらと宙吊りであり続ける、かもめのモビールを、助けてあげたんだって、ぼたぼた、足…

溺る鱗/随時

果てまで続く、対照にカラフルな一軒家が能面つらなし、さっそうと立ち並んでいる。(おい新入り、馴染んでんじゃねえぞ、ぼさっとしてねえで、かしこみもうしやがれ) 緊張が裾に解ける、その反物で何を作ろうか、螺旋の妖精が魔法をかけたよう、路地裏の瓶…

糸屑

蝶葬。飛翔ヒカける。それを、ひとのあるかたちに群がる 肉食の翅が蠢く 気配と憶え、群がる空中に 乱舞する鱗粉を酸う。追うように縋るように うしろに這えてくる、この背 その胸 どの躰も。土壌から膿まれ射る姿に呼ばれ そのものはかつての記憶と招かれるば…

星は見えない

異物を浮かべた形、取り繕えない襤褸穴、墓碑銘は微笑み。街角に吹き溜まる風を待ち時間をつぶす。きっかけを貪り喰う烏は今にも途絶えそうな足取りで、ふらふらとしており、ぼんやりと徘徊しては、ふっと啼くばかりだ。巡る/頭ン中にあって、酩酊している…

みゅーじかるないと

森林に水と魚が浮いている。たくさんの煌きを生み出しながら華麗にもこの手から逃げ出していた、暫くして。吸い殻を弄くりながら、溜まり込んでいたものを拾い集めては踏み潰す、燻ぶったぶんだけいっぱいに思えた。腐るほどの穢れが依然として船酔いのよう…

春の雨

昨日まで少し汗ばむような天気で、桜のつぼみも随分と膨らみ、全身で春を感じていたというのに。雨が、雨が降り続いている。外に出る気にもなれずに窓辺からしずくが滴るのを感じていた。庭の隅に植えられた桜の木は子の誕生を祝って植えたもので、ここ数年…

花筏に啼かされて

甘い花を散らすように、くちづけを、なめらかに頬張る指を止めないで。蝶蝶、唄うように甘やかした、ひらひらと舞い散るばかりの花ひら。流れ去るばかりの花筏に熨せられても、目眩のような残光が網膜を焼くほどの、桃色の視界に染まりきっても。多分、毎年…

疎隔した生き物 モノノアハレ

エンジンをかけ今日に乗り込んでいく。表情筋を圧え、酸方向から成る光明をひとつづつ引き剥がし片付けていく。そして今今。作業効率は右から左へ乗せられるだけ満ち欠けだらけの罅を修復するよう、ちいさく折りたたまれ、すこしだけ軽く準える、「この便り…

アイボリーの椅子

やっぱり微笑っている、ヒト。 肩が震えたあとで/羽根が生え落ちたときに/ここに滑り込んだのだと。 閉苑間近の映画館の待合室のゆったりとしたソファーで(今震えている。) 冷ややかな水族館で/賑やかなネットスーパーで。黙って。私を私として、 受け…

靴擦れのせい

手荷物をおろしてしまえばいいのに、背負った分だけいくらかヒトらしく思えてくる。 校舎の隅っこにある、寂れた消火器の気分でいたい。喧騒を逃れた隅っこの雑草は根強く踏まれても生えてくる。 折り紙一枚の価値、箔押し一栞の美しさ。いまなにを取り出し…

錆びた針金と緑青の浮いた貨幣とを交配した、はらばいの。まだわかい蕾と水仙の足がない。解けやしない知恵の輪の/いっそ/解毒作用を知りませんよ。触れずしてまやかしだと 悪戯だと、眩しくて言いようのない順序を 憶測もなく 泥沼に丸め込んだ一音を保護…

揺籃(緒/粋/端)

暗幕を持たない不知火が、それにしてもと続く、まごついた泡が駄目になるのを ほらみたことかと反転する。真相を失くしたものはもともと幾何学を閃光させ、それでも大きく唸ることはない、胸の内に飼われるハイエナが聖獣と戯れては、焚き付ける塵や埃に眩し…

〈うぞめき、ろまん〉

齢の股から屍の如く、白腕がごっそり生えてきたサンダルウッドの景勝が見事であった。反社な殻と、勿体ぶって、豪壮の槍を/万華鏡の恵慈に突き立てる。横暴よ。確してみれば、稀有にぞんざいの、戯言の細部を圧縮する。毘藍婆よ。制は尾となり豪は僅か、人…

あわい

花の名前を忘れてしまったのです。多分花だと思うのです。けれどトランプのカードを切りました。そして裏にかえして、表からそれを眺めています。コーヒーは一口、躰を、あたためましたか。ブランデーは上澄みに注ぎ込まれ、冷たい生々しい感覚が命を刻んで…

ぼくがぼくでなくなるとき、ボクはボクをたべているとき(原文留置)

ぼくがぼくであるには、ボクを俯瞰するなにかが、それがボクをかたちにするために必要な何かを持っている、ボクは丈夫な器と丈夫な心を持つ、けれどボクは誰にも見えやしない、聞こえやしない、ボクの足が大地を捕らえている、欠陥のない両腕はするりと動か…

シガレットココア

女々しいな、むっとした香りを嗅ぐ抑揚のない背後からの視線、いつになく。わっとおもわず声もあげない空模様、病かな、歴史かな、空席に鬱憤が溜まっている。手がこんでいる、ひたむきに、汚らしい口を覆う、だまって放っておいて。退屈しのぎにはなしかけ…

浄罪

終わりを嘆いた。漂着した小さなひとみだ。ちいさく震えたけれど背負い切れるわけでもない、砂の器だ。幾多の山々を越えた少しの荷物が、更フけ、少しずつ輝きを喪っていく。零れていたのだと気付いたときには遅く、火は消えようとしてた。 片足、細腕、碧眼…

冠水

小枝をたたむ、河原になって。氷が覆う心臓の周りを、何周でも血が循環する。もうすぐにみらいと手にかけるのに、億劫にも見送るような真似を施された、にごりのおとよ。キミではないな。足を投げ出して/ただ酔わせて あわさった影が隠される。 あのてこの…

この夜行列車のラヂヲ放送は今夜も。「鈴のように転がる姿を見たことはなかったが…』からはじまり。軽快なステップを踏み越えて、明日の天気や今日あった事件、地方におけるほのぼの動物の生誕を、そういった心情のこもったアナウンスが、遠からず近からず距…

みずのいろ、あなたは

雨/風/星/海/落下地点に塒を巻く竜がいる。微動だにしないが、規則正しい鼾が対流を盛んにしていた。渦の中心に耀くその命の先行きが、正しい姿を齎していたのだと、後に語られるかどうかは定かではない。 これは私の見た陳腐なゆめの一部を、寝ぼけなが…

だれもいねえのよ

愛恋夢希望素晴らしい未来? うるせえよ。まったくキラキラしたもんぶら下げやがって、そりゃ幾らになるんだ。何日分の飯になるんか? ああー、どうせ赤の他人、てめえに恨み辛みもねえし、どうでもいいけどな、そりゃ俺のものがたりじゃねえからせいぜい幸…