ことばとき(araireika)

捻り捩じった羅列・流れの一音にどれだけの意味が混められるか

糸屑

蝶葬。飛翔ヒカける。それを、ひとのあるかたちに群がる 肉食の翅が蠢く 気配と憶え、群がる空中に 乱舞する鱗粉を酸う。追うように縋るように うしろに這えてくる、この背 その胸 どの躰も。土壌から膿まれ射る姿に呼ばれ そのものはかつての記憶と招かれるばかりで、何処にも征けやしない。小さな澱を睨んでおいて 汚れた瞳は潤んで 覗くわずかな疵。

これを陽炎、と結ユう。

首の切れた麒麟が見えて、ゆっくりと通り過ぎる、葦でなければ浮腫んだ猫の面の暗示を閃かせる、近づけば三叉の鬱金香。齧ってはすこし、赫。偲び。親指ほどの膵臓を引っ掛け、慌ただしいものだ。なだらかに腫れ上がる空に接ぎ銜えた、野天と明かり。あるだけ、模範的浄瑠璃の流れを理想図に捩じ込み、ひとり陽春を束ね競い合わせるとする。かの草葺の、かこいような慶弔は、素焼きの礎を用い沁みる頃の糸屑と布に、いのちかぎりのこの手が、のぅのぅと拭うのだ。

 

短く切り揃えた、なにか似たようなところが、ほぼ、たのしそうに失敗を重ねている。いんちきの背くらべ、おもちゃのコピー品、レプリカの盗作、どれもこれも幸運に肖ります。
高尚なフィギュアより貴いクローバーは、そこら中に、みだらに、鋳るのでしょう。だれが申しましたか、糞知りませんが。負け犬の遠吠えだけが時報のように、看取られていきます。
無口な星に宥められる今、西の空に飛行機の翳が堕ちる。モノクロの砂漠の文様が、点滅する電光に炙り出される。道を塞ぐばかりの枝を伸ばした桜が、〈その/いったい/そのどこか〉花弁もざっと消え去る、瞬間、今も未だに じとついた。鏡は雫、大人びた子供が黄色い傘をまわす 廻し続けている、あなたはその耳を食い千切り口を縫い合わせ瞼も焼いて、残るは舐り満たした嗅覚だけの、わたしのドッペルゲンガー、負け犬かしらね。