溺る鱗/随時
果てまで続く、対照にカラフルな一軒家が能面つらなし、さっそうと立ち並んでいる。
(おい新入り、馴染んでんじゃねえぞ、ぼさっとしてねえで、かしこみもうしやがれ)
緊張が裾に解ける、その反物で何を作ろうか、螺旋の妖精が魔法をかけたよう、
路地裏の瓶コークになにかの稚魚が混入しだしたようだ。
(ここにそこに思いがけなくこれ幸いと)
おしゃれな街の、それは多分そうで見放してみては、たわいないライトのさじ加減が、
だだ、とせせこましくぶら下がっている夜さりであります。
霧もなくただフィルムは古く咳き込み慌ただしく貧しい桃色が足早に去っていきました。
あわれめのあわさりは、丈が足りず、ひどく寒そうな柔肌を覆うだけです。
そうか 毛糸の山だ。
毛糸の山だ そうだ、
始末のついた拗れたものが、秋の様な生々しい葉を着せている、
一斉の美だ、その寂寥をなぞってしまわれる、幾つもの稜線だ
見ている、わたしを
わたしが 見ている。
何も知らずに何も語らずとも、わたいらの口は足跡を詠んでいる、
人前で口吻を躱し、平らに燃え広がる、策は手ぬるい笑顔を窺いながら
心象という自身の境界線の揺らぎを捉えて超えたい 今更
振り返ったところで遅いんだよそれは 胸を張って誇らしげにお高くとまる
終末近くにある、蛍火を吸って吐く 認識という覚醒に羽化されるように、したり顔だ
inori併せたような肉房のその補足、垂れやがるその熱の、
薄闇の窓辺より瓦解する、世界の上辺が、まだ囀るまえに。
白く照らされる壁一面に、緑化したアオが栄えるように、見えざるが。
コヨリ散らしたばかりの紙幣のそれ冒涜、雨だれるその空ろ、明星の畠より燦燦触フる。
ときの残片が、しかし頷くだけに。しらけていった緞帳の餞別に、
探花した赤が焦がすが、くさ深き地に、命が濛々と行く手には、まだ、まだだ。