ことばとき(araireika)

捻り捩じった羅列・流れの一音にどれだけの意味が混められるか

2023-03-26から1日間の記事一覧

春の雨

昨日まで少し汗ばむような天気で、桜のつぼみも随分と膨らみ、全身で春を感じていたというのに。雨が、雨が降り続いている。外に出る気にもなれずに窓辺からしずくが滴るのを感じていた。庭の隅に植えられた桜の木は子の誕生を祝って植えたもので、ここ数年…

花筏に啼かされて

甘い花を散らすように、くちづけを、なめらかに頬張る指を止めないで。蝶蝶、唄うように甘やかした、ひらひらと舞い散るばかりの花ひら。流れ去るばかりの花筏に熨せられても、目眩のような残光が網膜を焼くほどの、桃色の視界に染まりきっても。多分、毎年…

疎隔した生き物 モノノアハレ

エンジンをかけ今日に乗り込んでいく。表情筋を圧え、酸方向から成る光明をひとつづつ引き剥がし片付けていく。そして今今。作業効率は右から左へ乗せられるだけ満ち欠けだらけの罅を修復するよう、ちいさく折りたたまれ、すこしだけ軽く準える、「この便り…