ことばとき(araireika)

捻り捩じった羅列・流れの一音にどれだけの意味が混められるか

花筏に啼かされて

甘い花を散らすように、くちづけを、なめらかに頬張る指を止めないで。蝶蝶、唄うように甘やかした、ひらひらと舞い散るばかりの花ひら。流れ去るばかりの花筏に熨せられても、目眩のような残光が網膜を焼くほどの、桃色の視界に染まりきっても。多分、毎年塗り替えられる、傍らに愛しきものがいるのならば。ときは留まり続け、重ねられていく季節に、重く深く沈められて逝く散り際も、死ねばもろとも、記憶として水葬に埋まる。わがままにも、大海に流れ、涙で濡れる身を、その濡れそぼつ、春の雨としっぽりと、しとどに冷えちまう前に熱を貶しめてくださいませ。