ことばとき(araireika)

捻り捩じった羅列・流れの一音にどれだけの意味が混められるか

みゅーじかるないと

森林に水と魚が浮いている。たくさんの煌きを生み出しながら華麗にもこの手から逃げ出していた、暫くして。吸い殻を弄くりながら、溜まり込んでいたものを拾い集めては踏み潰す、燻ぶったぶんだけいっぱいに思えた。腐るほどの穢れが依然として船酔いのようにいつまでも、大地を揺らめかせる病のよう歪ませて魅せているのだから、仕方がないが、そんな日もあるということ。

久世 要は不機嫌である。びんと跳ね起きたあとで眼下に開けた美景が気まぐれにも日暮れであったとして大したことではなかったけれど。重いしがらみを纏わせるような漆黒があたりを覆っていくのだが、それもまた引け際の哀歌のように思え。ですから闇雲に祓おう、そして悲劇的な結末としてのマテリアルのひとつとして、丁寧に塗り込まれる記憶の秘訣をこうして、彼の歎息と漏らしているのだ。

無遠慮な欠伸をかます男がいた。不快な透明感に投影された自らの寂寥感を泥沼の藍色、波間に流したばかりである。笛の音めいたフェリーが遠くに着岸し、闇の底へいくつかの灯りが放たれる。つきのない夜こそ星星が耀き、夢や希望を募らせ膨らみ過ぎた野心が風にのり、にわかに、わらいごえに沈着する、凍えた魂に少しばかり残された、蛍火がまた啜り泣き、そのような波音がざわめきが銃声が手拍子でかき消される。

ああ、目映いほど陽気な音色が触フってくる、心などとうに壊れているのに、器などとうに廃れているのに、多国籍雑感が入り乱れた、その小さなハコ(Radio)から汚れた横文字が流行歌と疾走らせる。いつぞやの記憶を垣間見せ、翻される濁声に酔いつぶれてしまう。楽譜はなく記憶も薄れ、何もかも亡くしたはず。だのに、受け継がれているのか、どこかだれかの胸のうちに、熱を生み出すのだろう。あゝ、逃れられやしない、愛おしくも狂おしい、魂のものがたりから。