疎隔した生き物 モノノアハレ
エンジンをかけ今日に乗り込んでいく。表情筋を圧え、酸方向から成る光明をひとつづつ引き剥がし片付けていく。そして今今。作業効率は右から左へ乗せられるだけ満ち欠けだらけの罅を修復するよう、ちいさく折りたたまれ、すこしだけ軽く準える、「この便りに消印を押し続けてしまうだけの簡単なものですから。」行く先不明の誰か何かという、道連れのひとつとして、ランダムに封入される未知は定まると申しております。
「これが才徳と言うのかい?」
些かコバカに沿う箱庭と打ち明ける/煌きも死んじまった そののちに/野地に、あと二三回(続けざま/在るが儘)跡に山塊。此ら誤美のヤマ場、ロシアンルーレットの回転を軸に、私達を指し示す黒塗りの、そこに生きていたであろう回想録の折り筋ですら、陽と火と/漏斗、否と、
、ひとひと、が。ほそい胃に焼べられる。
と、憎憎しい情と愛を溶かし込む。じくりと、錠と哀で、蝕まれる。酔うに浸透していく、生き永らえる、これらみつゆびで、握り潰され。そのてのひらが汗ばんでは、みては、己というものを思い起こさずにはいられない。なんという、疎隔した生き物なのだろう。
これは、ゆうもやのおもいを告げるだけのエニシも、いまだ気づけていない。烈香の山を駆け上がらせる記憶も、薄盲の谷を越えるだけの形見も、惨劇の川に交えるだけの渦中もない、問うしてせせらぎを後目に、締め切られた斜陽線を吸い込み錬金術に交わして、目の当たり柔らかいだけの演出で、築いただけ偲ばせる。
、香のような空気が硬化され、
記事にも至らない。この私達の物語的、ステップを踏み均して、何処か違うセイカイに飛び込んでしまいたい。星の海をどこか若いて、(浪内凡々―なみなみだ、)青い空ろを誣いて、敷いたレール上に強いたレースを翻して「走り出せ!」うたいおどりまといあわれにも。その足で命を燃やして、
鳴いてみろよ
凪いてみろよ
哭いてみろよ
薙いでみせろよ
ローレライのように朽ちた海月のていで
帆ない軀のままで、暗澹を広げ、櫂を流した
いくども/いくえも/いくばくも、『希う。』
煽情的な描写で喉元だけの白鴉をポルノチックに消化してバランスをとる。ポールダンスでは導けない対照調和、iのかたちを ナニにみる。深さを図るように垂らしてみせた。nineからはじまるカウントダウン。くだけたかたち、零の先端を、点のない愛が碑イシブミとして、刃と鐘鳴と、燐として経つ。その表裏一体の肌合いを乞い願うという。
砕かれた星回りの数だけ、鬱くしい。
これこそもっとも気高く触れることすら適わぬ、
ここにたどり着く、意志を持ってしてようやく。
要約。どうせ人魚姫は泡になって消えてしまうから。
そのあしを燃やし、閉じ込められた水葬にて、どうかそのかんばせを拝ませて下さい。と化粧箱に仕舞われる。その光景。
アイボリーの椅子
靴擦れのせい
手荷物をおろしてしまえばいいのに、背負った分だけいくらかヒトらしく思えてくる。
校舎の隅っこにある、寂れた消火器の気分でいたい。喧騒を逃れた隅っこの雑草は根強く踏まれても生えてくる。
折り紙一枚の価値、箔押し一栞の美しさ。いまなにを取り出してもゴミにしかならない、滑り落ちた論文の意味、鼻垂れるダイアローグ。大好きで、意味の通じない、腐った。皮だけのもの。私たちを表面から鞣していただく、素晴らしい売り言葉をひとりごちる。赦されるのか、苹果範個分の値段で査定した知能が。装飾したなぞなぞを、正に今、ありがとう、さようならと手をかける。
表情1つ変えずに賜ること、口ごもるだけのエズラを私たちは心と言うが、あなたの胸に刃を突き立てている、本当は、どうでもよかった、なんでもよかった、すれ違いざまの、わがままをただ黙って利いているふりを続けている。
絡まる腕と解れる躰で、頬を緩め肩を並べて、生きて活ける。だれかの犠牲になるように、わたしの心を殺してしまって、ただ隣りにいるという。だれかの肥やしになるように私の恨みを込めるのです。
塗りたくられたあとのがびがびの化粧から剥がれた笑顔が、なによりも素敵でありますように。いまからの脱却、いまだけの道筋を、延ばし続けている、長い爪と長い髪を天秤にかけて。どちらが先にくゆるのかと、思案を続けている。関節一本分の誤差で、私たちは仕切られている。
ごめんね、なんか疲れちゃってね。腰を下ろすこともできず何かもじもじしているような形、空を見上げても快晴。くだらねえほど真っ青で多分私はどこか小さな窓辺からそれを眺めているのだと思っていたい。ホコリだらけの箱庭はどこにもしまわれてないのに、手垢だらけのくせに、大事な気がするくせに、大切だとは思えない形に成り下がっている。
ただ歩き疲れた靴擦れのあとからの、かたっぽの靴がぼやいているのだ。
新しきを前にどこへも征く気分にものらずに、なんだか無駄に疲れている。夢ならば未だ。足も地に飛び立てる、はねも生えようか、これもまた。壊れた人体模型、とひとしお。
街
錆びた針金と緑青の浮いた貨幣とを交配した、はらばいの。まだわかい蕾と水仙の足がない。解けやしない知恵の輪の/いっそ/解毒作用を知りませんよ。触れずしてまやかしだと 悪戯だと、眩しくて言いようのない順序を 憶測もなく 泥沼に丸め込んだ一音を保護した。敵は幼となく滴は遙華なく、だんまりと寝坊する。
不憫でたまらないな、早朝声なき声が傾いている。しぶきを越えると砂丘までいくつもなかった。一ダースのうちほんのりと花を咲かせた時代を線路で繋いでいる、傷んだ板面にキスをして結婚を考える。珈琲店でケーキを頬張っていた、あの子達はどこまで引き延ばされたのだろう。
取るものも取り敢えず瘡蓋もとれない。咲き乱れる野山だと思っても牡丹はそこにいる。足が滑っても先へ進みたい、どこか転がっても構わない、夜に溶けていく涙声が忘れられない。風に千切れたヒトのすがたが思い出せない。ザクザクと投げ込んだ石が嚥まれていく。雨上がりだった、広大な肥沃であった、これからだった。
サンドイッチをひとつ注文した、甘いような苦いようなマーマレードで、ラジオから上品な歌声が聞こえる。唇を震わせて鳥が囀るようだ。口の中がぼそぼそといっぱいになる。鈍臭く微笑を噛み殺しアンバランスな出で立ちを残したまま、席を立ち会計をあとにする。
活気づいた朝が置き去りにしたハンカチ一枚にまた波が押し寄せるように、どこか遠くへ運ばれて。摘まれた花、野畑の艷、水を含んだ、暁光のかおりがこの今へと溶けている。
揺籃(緒/粋/端)
暗幕を持たない不知火が、それにしてもと続く、まごついた泡が駄目になるのを ほらみたことかと反転する。真相を失くしたものはもともと幾何学を閃光させ、それでも大きく唸ることはない、胸の内に飼われるハイエナが聖獣と戯れては、焚き付ける塵や埃に眩しては。燻る幼さが照明となる無垢な夜想曲と造形はわずかに針を掻き、撓らせる玄を希花せた。
なにか、心理だったか、予想も付かない洗脳と教育。常識とすり込み、道徳でしか測れない憶測を描こうと必死だ。一音一音を背に腹に点描の如く聖櫃に穿つ。純朴な死神が今と微笑んでいる、わずかに戻されたときが、喉に詰まってうまく生かせないようだった。
私たちはすぐに毒を吐く。ともすれば天使に近付く。拳を振り上げて匂いを嗅ぐ、あたりはなんてこともない、無色の階層を布シいていく。ほらみたことか、助かることもない幻想が日の出にて屠られてしまう。地中には軀が、芽を囃し、もう直ぐに花に変わろうとする。地中不覚の澱が我々の姿と告示してくる。
この廃刊に見立てたひしゃげ朽ちたスチールに詰まった罵声土星共棲の夢物語を、水銀糖に溶かして啜っている、細い欄干と糜爛した濃霧と、剥離した世界が喉元を焼いていく、すべてが私達の境地として、源に降る。常に正しく。
〈うぞめき、ろまん〉
齢の股から屍の如く、白腕がごっそり生えてきたサンダルウッドの景勝が見事であった。反社な殻と、勿体ぶって、豪壮の槍を/万華鏡の恵慈に突き立てる。横暴よ。確してみれば、稀有にぞんざいの、戯言の細部を圧縮する。毘藍婆よ。制は尾となり豪は僅か、人針の含光に愉快であった、ならばそれが一粒の偽薬に、蜥蜴の爪/刃毀れの煌き/篇先のシーグラスを微温く、鋒を寝かせた番師の拍動を異沓か、禍災に戻した。
〈うぞめき、ろまん〉
囃した過美を選集に銜えた。磨り潰した夏に――与アタエリ
煮沸された巡るリに刮げ落とした、愚痴の一つでも保たせられれば、
吁 ナントモ、可ヨいのに。
指から刃が栄え 御前の芽を潰すにばっこい涎が、茹だりゃ、ピンと張る弦のシナリオが旋律で託カコった。allegory――ならば糸を引く、詩を奏でる、祈りをも額ずき。整列した暗号が一斉に礼を布いた。どのみち、飾り気のない己が歩み寄る。すべてを受け入れたとき、凡てが塗り替わる。
それがしがつみ。
通行手形。罪状の陰雨、道行の火垂る。泥沼に湛むアシオト。なんとも。モノガラシイものではないか。扉を叩く弑逆と破砕、頭痛を引き起こす詩片ウタカタ達の怒声、発破した水の泡を揺り籠に滑り込ませた。仮初だと模様すのかそれが、獣に誑かされた痕だと何故築いていっても、
それを愛だと号サケぶ!
あわい
花の名前を忘れてしまったのです。多分花だと思うのです。けれどトランプのカードを切りました。そして裏にかえして、表からそれを眺めています。コーヒーは一口、躰を、あたためましたか。ブランデーは上澄みに注ぎ込まれ、冷たい生々しい感覚が命を刻んでいましたから。
土の上に咲いていたのです、ジョーカー。それがプランターだったのか、野山にあったのか、遊歩道に飾られていたのかは、忘れてしまいましたね。
そのときの香りはありましたか? 周りには何が見えたでしょう、なにか聞こえませんか。早口で腹の薄い妊婦はかるく言葉を投げかけます、最期にもう一度だけと応えますと。花もすべてを忘れてしまったのです。と首を振りました。
あなたはだあれ。と空を懐って見ましたが。あなたはなあに。と海を想って見ましたが。あなたはどこへ? と転がしていたのです。サイコロはふと過ヨギるばかりのものが逃げ出すように、坂道を落ちてしまいます。上から下へと、緩やかなカーブを描いて、見上げてみても何もかもが遠い。弓なりの月が私を眺めています。ただそんな気がするだけ、夜はなにもかもが悠く緩く、近づいてきました。
ト:雪渓はかえりみて、あざやかさと埋め合わせて
描かれた黄昏色の向日葵はきっと雑踏と彼方に、かすかにあおいのだけど。
ぼくがぼくでなくなるとき、ボクはボクをたべているとき(原文留置)
ぼくがぼくであるには、ボクを俯瞰するなにかが、それがボクをかたちにするために必要な何かを持っている、ボクは丈夫な器と丈夫な心を持つ、けれどボクは誰にも見えやしない、聞こえやしない、ボクの足が大地を捕らえている、欠陥のない両腕はするりと動かすことができる、
けれどボクはここにいない
僕が僕であるために必要なものはボク自身ではなかった。ボクはどこまでいっても深く遠く浅はかで上澄みだった。
ボクはそこで輝いていたのかもしれない。ボクはそこで息をひそめていたのかもしれない。なぜふとこんなことにたどり着いてしまったのだろう。
不快な沼の奥地で吐き続ける泡沫はどうしてこんなにも純粋できれいなんだろう。
ボクの足はそこで歩くことをやめてしまった、ボクの声はそこで泣くことをやめてしまった。ボクはそこで暫くボクだけが見えるこのウタカタを眺めていたいと思ったのだ。
ボクの心は躰は水に溶けてヒトではなくなった。完全に忘れ去られたあとでしかなかった。ただボクだけがボクを抱きしめていた、ボクがボクのぬくもりに愛されていた籠もっていた。
ボクはボクではなかった、ボクはなにをみていたのだろう。ボクはなんなのだろう、ボクはボクは…
水辺に波紋が広がるのを眺めていただけだ。
虫に食われた紅葉がコイに突かれて沈んでいくのを、ボクはどこから眺めている。
2023/03/13
シガレットココア
女々しいな、むっとした香りを嗅ぐ抑揚のない背後からの視線、いつになく。わっとおもわず声もあげない空模様、病かな、歴史かな、空席に鬱憤が溜まっている。手がこんでいる、ひたむきに、汚らしい口を覆う、だまって放っておいて。退屈しのぎにはなしかけてみては、やっぱり紛らわせることもできない。なんともやりきれない一日が、話題もない慎ましやかなときが、なんでも狂気なような気さえする。髪をかきあげてみれは、やはりなんとも、まごついては、マグカップの湯気が冷めた目付きでルージュを啜っている。
絆と言うにはもろくゆるくすぐにバレるような嘘をつく、ピストルに擬態した鳥の鳴き真似が、伝統芸。朝方になっても盛んにしている〈おとこ/おんな〉藁屑に花粉を頭から寝間着を被る、泥のようなシワを寄せていけば。雲をつかむような格好で、貨幣をいくつか掴んで、オノミモノが描かれた自販機まで。入り口がきれいに夏の虫、暗がりで照らせば、夏の虫も憑き物が落ちたように、ぶわりと翔ばした鎌首ごと、枕返し。
今日の命が奪われました。いまから明日になります。いさぎよく撃たれたウサギとカメの暗号文、疑わしきものを罰せず見守るように尋ね回る、
視線だけおよぎつかれても、視界だけ開けていく。実体のない嫉妬、質素より湿度を滑り落としている。ブザマにも火の車、図星にもずぼらを、正確にデッサンしたところでリズムは刻めない、射撃時間は等しく住所録には射程を記入する記憶の引用の意味が、傷つきやすいほど明瞭で強引なシティ・ポップじゃ、煩い口を塞げないからやっぱり、女々しいな。
浄罪
終わりを嘆いた。漂着した小さなひとみだ。ちいさく震えたけれど背負い切れるわけでもない、砂の器だ。幾多の山々を越えた少しの荷物が、更フけ、少しずつ輝きを喪っていく。零れていたのだと気付いたときには遅く、火は消えようとしてた。
片足、細腕、碧眼、戦慄くは口吻。空きをみせたばかりのヒトトセを殺す。すげ替えるように片っ端から罪もないヒトビトを。鼻先に突きつける荒廃は膿んだ、引き延ばせない鉄槌は波に餐まれてしまった、胸懐を超えたしがらみは、大海原の半島に置き去りにした。
いまごろキミはどうなってしまったか。無垢な躯のまま、ボクは添い寝していたい。足掻いた挙げ句、浮腫ムクれた外皮が剥がれ、線虫で着せられた真っ白いはだかを晒して、物言わぬ眼孔からはにかんだ緑児が生まれてくるのを、狂ったように見つめていたい。
永遠とはなんだろう、銃槍 血痕 轍 焼跡の花だ。
夢幻の内にいる水平線には、ひどくきたない月影は残存している。
のぼせたような木の葉が反射的に降ってくる、千切れ雲からそれを飛び越えるような光が、ちりちりと瞳を焼いていくのを、なによりも澄み切った、象牙色の骨が、怨めしげに広がっていた、不透明に羽ばたく、碧に溶けてみせて。
冠水
小枝をたたむ、河原になって。氷が覆う心臓の周りを、何周でも血が循環する。もうすぐにみらいと手にかけるのに、億劫にも見送るような真似を施された、にごりのおとよ。キミではないな。足を投げ出して/ただ酔わせて あわさった影が隠される。
あのてこのて(が)ちらちらとくるおしい(ので)
うしろからがくりと頷かせて、空いた口が閉まらないくせに、くちびらはこんなにも熱を銜えさせるのだから。肩から釘を打ちつけ、背に花束を拵えたまま、駆け上がることが、難しくもなく恥ずべきことでもなく、靴紐が解けただけだよと。
冠水の命日
置き去りにした一頁
積荷を降ろしたあと、焼失した夜光虫の、金色が今を今を浮遊しつくす。くぐもった声で濡れそぼった顔で、火照った躰で。ふらふらと溢れ出るばかりの、無法地帯の雨が、ほんの刹那を、台無しにしたけれど。水車は他意のない、異音を発してはいた。
某
この夜行列車のラヂヲ放送は今夜も。「鈴のように転がる姿を見たことはなかったが…』からはじまり。軽快なステップを踏み越えて、明日の天気や今日あった事件、地方におけるほのぼの動物の生誕を、そういった心情のこもったアナウンスが、遠からず近からず距離を置いて、瞬く間に流されてつづけている。
外は星降る雨に滲んだ海底を蛍火を散らしながら思い出を引きずっていくような仄かな熱だった。窓を震わせるのはどうせ誰か何かを悼んでいるのだろう、今日はまたへばりつくような夏の香りを、硝子の青年が、なみなみに継いで持ってきたものは。
それを斜めにしゃんと座る、狐面の親子が細い指でそっと摘んで覗き込んで、その砂糖菓子は冷ややかな氷を固めたものを細かく裁断した、余所行きのタマシイであったが。闇色のほしくずたちがたっぷりとしたベールで、少しずつ抱き込もうと必死にちいさくなった、あぶくでは、伸びたり縮んだりを繰り返しながら、過去と未来を縫合していく。
本記事はどこか腑抜けた文字列を栞にしているのだが、夢枕に立つはずのあの日の子どもたちが、気ままな夏休みへと旅立ってしまったようで、ボクはそれに追いつくように、乗り込んだはずだったのに、いつまでも変わらない風景を望んでいて。
どうしようもなくおかしくてしょうがないのだった。
みずのいろ、あなたは
雨/風/星/海/落下地点に塒を巻く竜がいる。微動だにしないが、規則正しい鼾が対流を盛んにしていた。渦の中心に耀くその命の先行きが、正しい姿を齎していたのだと、後に語られるかどうかは定かではない。
これは私の見た陳腐なゆめの一部を、寝ぼけながら書き起こしたたわごとなのだから、
そういって草原に佇む少年と少女の眼差しを紐解いただけだったが、果たしてこれらが、すべての源に通じ、すべての果てに沒れていくだけの、熱量をかごめていたのか、わかりはしないな。
だって、上の空にあって、きく耳も保たない、旧時代の記憶媒体では勝手な記憶と称して垂れ流して魅せる暮れ泥んだだけの、いま、スクリーンに今日を写し込んで感傷に浸る、そんな意味のない時間の過ごし方を、許されている少しの自由として、制限された心に移し替えただけの、ちっぽけなむしけらとかみさまとの、駆け引きめいたお遊びを、
なにを好き好んでファイルに収め陳列して、道に敷き詰めて、泥濘を埋めても。
なだらかにおよいでみせたまなざしのひとつも、地上の底に、なにが植えられえていたのか。みなみな忘れてしまうものだからね。きっと。
だれもいねえのよ
愛恋夢希望素晴らしい未来? うるせえよ。まったくキラキラしたもんぶら下げやがって、そりゃ幾らになるんだ。何日分の飯になるんか? ああー、どうせ赤の他人、てめえに恨み辛みもねえし、どうでもいいけどな、そりゃ俺のものがたりじゃねえからせいぜい幸せになれよな。二度と俺の前に現れるんじゃねえぞクソ、こうやって口をついて出るもんだろ、ひがみやっかみってやつはな。これぐらいはまあ独り言だから、見ないふりでもして通り過ぎてくれないかね。手を出すほどの恨みもなくて所詮これでストレスを発散してるのさ、最低だな。これをココロの中に留めておけねえのなあ、なぜなのかなあ、暗闇に崖っぷちにおっ立つほどの勇気も絶望もねえくせに、こうやって能書きばっかり、いいゴミ文でゲロ塗れて、とてもシアワセですってな、マジだぜこれはな。酔ってるんよ、自分にな。今ウイスキージンジャエール割、何杯目だろうな、しらんわもう、だけど意外と楽しいんでソレで充分っしょ。まあ哀れみなんて腹も満たされねえから反カエって胸糞悪いだけだって、わかってるんでいらねえな。だけどなそれでアンタの肩の荷がおりるなら好きにすればいい、アンタの気持ちだけ受け取っておくからな、悪いけど気の利いたことも言えねえ、自分は自分に酔いつぶれるしかできねえ不器用なもんでさ、だからうまいこと言って、そう思いこんで、そういうもんだって自分を殺して、今の自分につなげていく必要があってな、あゝこれは全部言い訳だそんな事知ってる。だがこれは誰かの迷惑になろうか、損をするだろうか。
掃き溜めだよ、これを見てまた同じ轍を踏んでなかなか戻ってこれなくならないように、塚を拵えているのさ、全部全部だ。今を書き下した言葉たち、思いが総て書ききれていないであろう、要約されたただの駄文だ、それでいいそれでいい、これは私の過去だ、私の生きた道だ、道標だ、墓標なんだよ、全部。愛している愛している愛している、自分の過去の選択を自分の生き方を、前も悪も過ちも全部、この胸に抱いてしまっているから、だからまあ重たいのでね。
たまにこうやって荷ほどきをして、新しく連れて行くための言葉を選んでは、ここに、この過去を記録として、思い出としてあとあと、振り替えれるように、置いていくだけの、他愛のない独り言なんだよ。